コーポレート・ガバナンス

2025年6月27日

当社は「継続的な企業価値の向上」を経営の最重要事項としています。その実現のためには社会から信頼を得られる経営の環境整備が必要であり、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な課題と位置付け、意思決定の迅速化、経営の妥当性の監督機能強化、企業倫理に根ざした企業活動の透明性の確保などに取り組んでいます。株主ならびに投資家の皆様に対しましては経営の透明性、フェア・ディスクロージャーの観点から、適切かつ迅速な情報開示を実施するよう努めています。今後もさらに積極的な情報開示を進め、ステークホルダーの皆様との十分なコミュニケーションを図っていきます。

当社は、取締役の業務執行に対する監督機能の一層の強化と経営の透明性・公平性を高めるため、3名の社外取締役を選任しています。

当社は、監査役会設置会社であり、社外監査役3名を含む監査役会は、監査・監督機能を十分に発揮して、取締役会の意思決定にかかる透明性の確保に努めるとともに、取締役会や経営会議など重要会議への出席、重要な決裁書類の閲覧、グループ各社の調査など多面的な監査を行っています。

企業の社会的責任(CSR)を自覚し、グループ各社の部署ごとにコンプライアンス推進・リスク管理担当者を置くとともに「コンプライアンス委員会」と「リスク管理委員会」がグループ全体のコンプライアンス及びリスク管理の対応を統括・推進する体制を構築しており、グループ各社のガイドラインを策定した上でグループ全体の相談・通報体制を整えています。なお関係会社の管理にあたっては「関係会社管理規程」を制定し、その経営等は自主性を尊重しつつ、事業内容の定期的な報告と重要案件についての事前協議を行う指導体制とし、また内部監査部門は「内部監査規程」に基づきグループ各社の監査を実施し、監査結果に応じて統括部署の責任者が指示、勧告または適切な指導を行っています。

なお、当社は、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方に基づき、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」を策定しています。

会社機関の内容および内部統制システムの整備の状況等

1. 会社機関の内容

当社は監査役会設置会社を選択しており、取締役会及び監査役会等を設置しています。

当社は経営の意思決定及び業務執行の監督機能を担う取締役と業務執行機能を担う執行役員の役割を明確に区分するために執行役員制度を導入しています。取締役会は月1回の開催を原則とし、業務執行に関する重要事項の決定、取締役の職務の執行を監督する場として、十分な議論と時宜を得た意思決定を図っています。業務執行に関しましては社内取締役及び統括責任者(CxO)からなる経営会議を設置し、当社及びグループ会社の業務執行に関する重要事項を協議しています。さらに3名の社外取締役を選任し、その独立性及び豊富な経験、高度な専門性を活かして経営の透明性と監督機能の強化を図っています。

なお、報酬決定にあたっては、任意の「報酬・指名に関する委員会」にてモニタリングを受けた後、取締役会で決定しています。

また当社の監査役会は常勤監査役2名、社外監査役3名の計5名で構成し、監査・監督機能の発揮による透明性の高い意思決定のできる仕組みを整備しています。

ガバナンス体制図

図:ガバナンス体制図

2. 内部統制システムおよびリスク管理体制の整備状況

当社は健全な企業活動を継続するため内部統制システム及びリスク管理体制の整備に取り組んでいます。内部統制の仕組みである社長直轄組織としての監査室を設置し、随時必要な内部監査を実施しています。

当社は以下のとおり、内部統制システムを構築し、取締役会において決議しています。

コンプライアンス体制

  1. (1)「キョーリンは生命を慈しむ心を貫き、人々の健康に貢献する社会的使命を遂行します。」という企業理念の下、国の内外を問わず、関係法令、国際ルール及びその精神を遵守し、高い倫理観をもって行動することを目指した「杏林製薬企業行動憲章」と、その行動憲章を補完し具体的な行動基準を明確化するため「コンプライアンス・ガイドライン」を制定する。
  2. (2)当社及び子会社(以下、当社グループという。)のコンプライアンスの取り組みを横断的に統括する組織として、コンプライアンス担当統括責任者を委員長とし、内部監査部門の部門長も委員として参加する「コンプライアンス委員会」を組織し、原則毎月1回開催する。
  3. (3)「企業倫理・コンプライアンス規程」を制定し、健全かつ正当な事業運営を図り、コンプライアンス推進については「コンプライアンス・ガイドライン」により役職員がそれぞれの立場でコンプライアンスを自らの問題として捉え業務運営にあたるよう、研修等を通じ指導する。
  4. (4)当社グループのコンプライアンス違反行為等についての内部通報・相談窓口として「企業倫理ホットライン」を設置し、通報内容を秘守し、通報者に対して不利益な扱いを行わない。
  5. (5)「コンプライアンス委員会」及び監査役は、日頃から連携の上、当社グループのコンプライアンス体制及びコンプライアンス上の問題の把握に努める。
  6. (6)当社グループは反社会的勢力に対し毅然とした態度で臨み、取引関係はもとより一切の関係遮断に努め、所管警察や顧問弁護士等との連携をとり、当該勢力による被害の防止に努める。

情報管理体制

  1. (1)取締役の意思決定その他の職務の執行及び取締役に対する報告に関する情報については、取締役会規則、文書管理規程、その他の関連する社内規程に基づき、適切に作成・保存・管理する。

リスク管理体制

  1. (1)当社は、リスク発生を予防する管理体制の整備及び発生したリスクに対し会社の損害を最小にするため「リスク管理規程」を制定する。
  2. (2)グループ全体のリスク管理の取り組みを横断的に統括する組織として「リスク管理委員会」を設置し、予想されるリスクの洗い出しとリスクの軽減、未然防止体制の構築並びにやむなく発生したリスクによる損害を最小限にするため、該当部署に対し対応マニュアルの整備や対応訓練等必要な措置をとる。
  3. (3)内部監査部門は、各部署の日常的なリスク管理状況を監査し、その結果を社長に報告するとともに「リスク管理委員会」へも報告する。
  4. (4)有事においては社長を本部長とする「有事対策本部」を設置し、危機管理にあたる。

効率的な職務執行体制

  1. (1)グループ各社は、組織規程、業務分掌規程、職務権限規程(職務権限・決裁基準)及び取締役会規則に基づき、取締役の職務分担を定める。
  2. (2)取締役会は月1回の開催を原則とし、業務執行に関する重要事項の決定、取締役の職務の執行を監督する場として、充分な議論と時宜を得た意思決定を図る。
  3. (3)監査役会は、監査・監督機能を充分発揮して、取締役会の意思決定に係る透明性の確保に努める。
  4. (4)特定の分野の執行責任者として執行役員を任命する執行役員制度を導入し、積極的に権限委譲を行うことで職務執行の効率化を図る。また、社内取締役及び執行役員から統括責任者を選任し、会社の重要な業務分野の迅速な意思決定と業務執行の委任の明確化を図る。
  5. (5)社内取締役と統括責任者により構成される経営会議を原則毎月2回開催して業務執行に関する基本事項及び重要事項に係る意思決定を機動的に行い経営効率の向上を図る。
  6. (6)取締役会において、中期経営計画及び各事業年度の計画を策定し、グループ全体の目標達成に向けた執行体制を確保する。
  7. (7)取締役会は定期的に実効性に関する評価等を行うことにより、その機能の向上に努める。

グループ管理体制

  1. (1)子会社において「企業行動憲章」及び「コンプライアンス・ガイドライン」を当社に準じて制定し、グループ全体として統一された方向観をもって行動する。
  2. (2)子会社において「企業倫理・コンプライアンス規程」及び「リスク管理規程」を制定、「コンプライアンス委員会」、「リスク管理委員会」を設置し、それらの統括は当社が行い、グループ横断的なコンプライアンス体制及びリスク管理体制の構築を図る。
  3. (3)「関係会社管理規程」を制定し、その経営等は自主性を尊重しつつ、事業内容の定期的な報告と重要案件については事前協議を行う体制を構築する。
  4. (4)内部監査部門は、「内部監査規程」に基づきグループ各社の監査を実施し、監査結果に基づいて、必要があるときは、統括部署の責任者が指示、勧告または適切な指導を行う。

監査役の監査支援体制

監査役スタッフ
  1. (1)監査役が求めた場合、監査役の職務を補助する監査役スタッフを設置する。
  2. (2)監査役スタッフを設置する場合は、取締役から独立し、監査役の指揮命令の下、職務を遂行する。
  3. (3)監査役スタッフの人事については、予め監査役会の同意を要する。
監査役への報告
  1. (1)グループ各社の役職員は、会社に著しい損害を及ぼす恐れのある事実、または、法令・定款に違反する行為などを知った時は直ちに監査役 に報告する。
  2. (2)監査役への報告を行った者に対し、当該報告をしたことを理由にして不利な取扱いを行うことを禁止し、その旨を役職員に周知徹底する。
その他
  1. (1)常勤監査役は、取締役会の他、重要な意思決定の過程及び業務の執行状況を把握するため、「経営会議」、「コンプライアンス委員会」や「リ スク管理委員会」などの重要な会議に出席するとともに、主要な稟議書その他業務執行に関する重要な文書を閲覧し、必要に応じて役職員にそ の説明を求めることとする。
  2. (2)監査役は、代表取締役と定期的な意見交換を行うことにより、監査の実効性を高める。
  3. (3)監査役は、当社の会計監査人から会計監査内容について説明を受け、情報の交換を行うとともに内部監査部門とも緊密な連携を確保し、適 切な意思疎通と効果的な監査業務の遂行を図る。
  4. (4)監査役は、子会社の監査についても連結経営の視点を踏まえて、当該子会社の役職員と緊密な連携を保ち、監査の効率化を図る。
  5. (5)監査役の職務の執行に必要な費用は年間予算を確保し、監査役が費用の前払または償還を請求した場合は、適切に対応する。

3. 反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方及びその整備状況

反社会的勢力排除に向けた基本的な考え方

当社は企業理念を踏まえ、企業倫理、コンプライアンスの遵守に向けて「杏林製薬企業行動憲章」及び「コンプライアンス・ガイドライン」を制定し、市民社会の秩序または安全に脅威を与える反社会的勢力・団体との関係を排除するとともに断固として許容しない姿勢で臨むこととしています。

反社会的勢力排除に向けた整備状況

  1. (1)対応部署及び不当要求防止責任者について
    当社での不当要求への対応統括部署は、総務部となっています。反社会的勢力・団体との接触があった場合に備えてグループ各社の本社・事業所に「不当要求防止責任者」を設置しています。
  2. (2)外部の専門機関との連携状況
    警察当局、顧問弁護士等と、平素から連携を保ち、緊急時における担当者との連絡・通報体制及び緊急時の指導・相談、援助の体制を構築しています。
  3. (3)反社会的勢力に関する情報の収集状況
    公益社団法人警視庁管内特殊暴力防止対策連合会等の会員となり、反社会的勢力・団体に関する最新の動向・情報を収集しています。
  4. (4)対応マニュアルの整備状況
    各社員が初期対応に備えるため「クレーム・トラブルの初期段階での対応(電話時・来社時)」マニュアルを作成し、適切に対処できる体制を整備しています。

4. 監査体制について

(1)監査役監査の状況

各監査役は期初に監査役会が策定した監査方針及び監査計画に従い監査を行っています。また取締役会や経営会議など重要会議への出席、重要な決裁書類・資料の閲覧、各部・事業所・グループ会社の調査など多面的な監査を行っています。

(2)監査役の機能強化に向けた取り組み状況

社外監査役3名については何れも経営陣や特定の利害関係者の利害に偏ることの無い中立的立場で企業法務、財務・会計等に関する相当程度の知見を有しており、専門的見地と広い見識・経験をいかした監査機能の充実、強化が図られています。

役職員が法令・定款に違反する行為などを知った場合は、直ちに監査役に通報する体制をとっており、役職員との緊密な連携と監査に対する理解を深めることにより、監査役監査の効率化への環境整備に努めています。

(3)内部監査の状況

内部監査につきましては通常の業務部門から独立した社長直轄の監査室(6名)が年度ごとに作成する内部監査計画に基づき、当社及びグループ会社の経営活動における法令遵守状況と内部統制の有効性・効率性について定期的に検討・評価しております。内部監査の過程で確認された問題点、改善点等は直接社長へ報告するとともに改善のための提言を行っています。

また、財務報告に係る内部統制の評価部署として、予め定めた評価範囲を対象にその統制の整備状況・運用状況の有効性を評価し、社長へ報告を行っています。

(4)会計監査の状況

当社は、会社法及び金融商品取引法の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人により監査を受けています。

なお、監査業務を執行した公認会計士等は次のとおりです。

(公認会計士の氏名等)

指定有限責任社員 業務執行社員 飯田 圭一

指定有限責任社員 業務執行社員 香山 良(2025年4月30日退任)

監査業務に係る補助者の構成は、公認会計士7名、会計士試験合格者等4名、その他6名です。

5. 会社と会社の社外取締役および社外監査役の人的関係、資本的関係または取引関係、その他の利害関係の概要

該当事項はありません。

社外取締役及び社外監査役を選任するための独立性に関しては、当社グループの役職員(過去10年間含む)、主要株主・主要取引先及び当社グループを主要取引先とする者・当社グループから多額の金銭等を受けている者(法人・団体等である場合は所属する役職員等。過去5年間含む)等に該当する者の配偶者又は二親等以内の親族(過去は含まず)、その他一般株主と利益相反が生じる恐れがあり独立した社外取締役又は社外監査役として職務を果たせないと合理的に判断される場合等に該当しないことを判断基準としています。なお、社外取締役 鹿内徳行、重松健、渡邉弘美の3名及び社外監査役 山口隆央、池村幸雄、森田憲右の3名は、(株)東京証券取引所の定めに基づく独立役員の要件を満たしているため、独立役員として同取引所に届け出ております。

6. 役員報酬の内容

役員の報酬については、当社グループの持続的かつ安定的な成長による企業価値向上に寄与する報酬とすることを基本方針とし、具体的には金銭を給付する「基本報酬」と当社株式等を給付する「株式報酬」の2つの報酬で構成しています。

「基本報酬」は経済・社会の情勢及び世間水準を背景に役位ごとに適切な給付水準を定めるとともに、会社の状況とそれに対する各役員の成果責任を反映させる報酬体系としています。また「株式報酬」は、業績に連動する報酬で、株式給付信託の仕組みを採用しており、中期経営計画の期間を対象に、毎年、会社及び各役員の業績に連動する株式給付ポイントを付与し、当該期間終了後(給付対象となる役員が退任した場合には、当該役員の退任時)に累積ポイントに応じて当社の普通株式等(一定の要件を満たす場合には、一定割合について時価で換算した金額相当の金銭)を給付することとしています。中長期の業績の安定及び向上を重視する観点から、「基本報酬」に対し「株式報酬」の割合が過度にならないよう設定しています。

社外取締役については、経営の監督機能を十分に機能させるため、報酬は毎年の業績と連動しない「基本報酬」のみとし、「株式報酬」は対象外としています。

2025年3月期の取締役に対する報酬の額は、取締役7名に対し、160百万円(うち社外取締役3名に対し33百万円)です。取締役の使用人分給与はありません。

なお、上記の額と員数には、2024年6月21日付で退任した取締役1名を含んでいます。

その他、詳細についてはコーポ―レート・ガバナンス報告書をご覧ください。