厚生労働省が目標とした後発医薬品の普及率80%(数量シェア)が達成されて以降も後発医薬品使用促進策は継続的に実施されています。
2024年10月には長期収載品の選定療養が導入され、普及率が初めて90%を超えました。今後も後発医薬品市場の成長は一定程度、継続するものと考えられます。また一部企業の品質問題に端を発した後発医薬品の供給不足問題は依然として続いており、安定的な製品供給が課題となっています。
このような環境下、後発医薬品事業の持続成長を実現すべく、追補収載品の開発力を高いレベルで維持する取り組み、医療用医薬品の厳格な品質管理に関わる信頼性保証体制の構築、さらには安定供給に対応する製品供給能力の向上を推進しています。
環境変化(社内外)
- 医療財政逼迫に伴う医療費・薬剤費抑制策の推進
- 製薬企業への信頼性確保の要望の高まり
機会
- 薬剤費抑制策の推進に伴う後発医薬品の需要増加
- 大型先発医薬品の特許切れ
- 高品質な製品に対する需要の高まり
リスク
- 後発医薬品使用促進のためのインセンティブの減少
- 毎年の薬価改定による収益性の悪化
- 原材料費、エネルギー価格の高騰
中期経営計画 「Vision 110 -Stage 1-」の取り組み
事業戦略後発医薬品事業の持続成長の実現
- 新規追補収載品の開発力を高いレベルで維持し、新規追補品を中心に成長を加速する
- グループ外を含め生産・調達体制を強化し、安定供給に努める
- 事業環境に対応できる低コスト体制を構築する
追補収載品の創出力を維持・強化し、成長を加速する
当社グループは、安心して使用できる後発医薬品をお届けするために、患者さん、医療関係者の立場に立ち、医療現場での使いやすさや患者さんの服薬のニーズに応える製剤や包装の工夫を行ってきました。
今後は事業環境の変化に備え、低分子化合物だけでなく、高薬理活性剤、抗がん剤、ニッチ領域の製剤等の新しい分野への挑戦も視野に入れ、専門性・人材・組織機能を強化して自社開発力を高めることにより、強みを持った存在感のある後発医薬品企業を目指します。なお2024年度は、1成分2品目の追補収載品を発売しました。
高岡創剤研究所
追補収載品の自社開発力を高いレベルで維持・強化することは後発医薬品事業の持続成長を実現するための根幹と考えています。追補収載品の品目数拡大を目的として、2017年7月に設置した高岡創剤研究所は、開発品目の特許調査・企画戦から原薬評価、製剤設計及び品質評価、臨床試験、薬物濃度測定まで、申請データの取得に必要な機能を有しています。
この製剤開発力の質と開発スピードをより向上させるために、富山県の産学官の連携システムを積極的に活用するなど、オープンイノベーションを推進しています。また異なる専門性を有する研究者を同じ部内に配するなどの組織再編や、研究者のコミュニケーション活性化による組織力の強化に取り組んでいます。
生産・調達体制を強化し、安定供給に努める
当社グループでは、グループ一丸となって生産数量の最大化に取り組んでいます。2024年4月に稼働した高岡工場は、7月に製品を初出荷し、本格稼働を果たしました。製品供給能力の拡大を実現すべく、既存製品の製造スケール拡大、外注品の内製化や井波工場等からの円滑な製造移管を進めるとともに、4工場の全体最適化を軸にグループ生産体制の再構築に取り組んでいます。
事業環境に対応できる低コスト体制を構築する後発医薬品事業では、これまでバランスの取れた複数の販路を通じた販売を強みとしてきました。今後はその強みを活かしつつ、営業体制の効率化を図ることにより 販売力とコスト競争力を高めていきます。
オーソライズド・ジェネリック(AG)への取り組み
患者さんや医療関係者の様々なニーズに応えるべく、先発品とAGの両方の販売を通して、市場で一定の評価を得ています。当社グループとして、AGの取り扱いは製品価値の最大化にも繋がるものと考えています。
現在、モンテルカスト錠「KM」、モメタゾン点鼻液「杏林」、イミダフェナシン錠・OD錠0.1mg「杏林」は、それぞれの後発医薬品市場内で数量シェア50%以上を獲得しています。
