当社グループは、これまで生産拠点として有する3工場の特徴を活かした製造品目の全体最適化や適切な設備投資等により、ローコストオペレーションを意識した、信頼性の高い製品の製造体制の構築を推進してきました。その結果、目標としていたコスト削減を達成するとともに各工場における生産数量の増加を実現しました。
他方、求められる品質の厳格化や、製造費用の上昇、製造技術の高度化など環境は大きく変化しており、高品質製品の安定供給を維持するために、新たな対応が必要となっています。
中期経営計画「 Vision 110 -Stage1-」においては、事業戦略として「医薬品生産能力の強化と製造原価の低減」を掲げています。製品供給能力の強化とGMPレベルの向上により、高品質な製品の低コスト生産と安定供給を実現し、グループ外からの製造受託拡大と競争力のある製造体制の構築を目指します。
環境変化(社内外)
- 製薬企業への信頼性確保の要望の高まり
- 製造費用の上昇
- 製造技術の変化
機会
- 外資系企業の国内参入による受託ニーズの拡大
- 後発医薬品の需要拡大への対応
- 高品質な製品供給への要望の高まり
リスク
- 毎年薬価改定による原価率の上昇
- 原油高や物流コスト上昇による原材料価格の高騰
- 感染症拡大や自然災害、社会情勢不安等での生産活動や原材料調達の遅延や停止
中期経営計画 「Vision 110 -Stage 1-」の取り組み
事業戦略医薬品生産能力の強化と製造原価の低減
- 高岡工場の確実な稼働と各工場の全体最適化により、生産能力を最大化する
- GMPのレベルアップにより信頼性の向上と安定生産の維持を図る
- 継続的な改善活動に取り組み、原価低減を実現する
中期経営計画の施策
高岡工場の建設による新製造体制の構築
当社グループにおける医薬品の生産数量の拡大に伴い、生産供給能力の強化が必要となったことから、新工場として富山県高岡市に高岡工場を建設しました。内服固形剤の生産能力の強化と、GMPのさらなるレベルアップを実現できる施設とし、各種作業の省力化や生産効率の向上による安定供給と低コスト生産の達成が可能となります。
それと同時に、再生エネルギーの積極的活用などによる、環境負荷の低減を図ります。2024年4月の稼働以降、4工場体制による安定供給と低コスト化を早期に実現していきます。
信頼性の向上と製品品質の維持
近年、製品に対して要求される品質は一層厳格化しています。工場間のGMP相互監査、データインテグリティ(データの完全性、一貫性、正確性を保証する仕組み)の強化、従業員の定期的な研修と理解度確認、映像を駆使した標準作業の習得等、様々な角度から品質確保に関わる取り組みを推進し、医療関係者や患者さんの信頼にお応えできる製品の提供に最大限、注力しています。
生産効率の向上によるコスト競争力の向上
新医薬品・後発医薬品の安定供給と低コスト生産を実現する製造体制の構築に取り組んでいます。生産技術の向上や新たな技術の獲得など、生産の質を上げる取り組みを生産活動の中で実践しています。
さらに生産リソースの適正配備や工程の改善などにより生産効率の向上に努め、ローコストオペレーションの徹底と製造数量の増加を通して、コスト競争力向上に向けた仕組みを強固なものにしていきます。
生産体制の全体最適化
当社グループでは生産能力の最大化を目指し、それぞれの工場の特徴を活かして製造品目と製造所の組み合わせの最適化を進めています。
能代工場では、錠剤やカプセル剤を中心として、新薬のみならず生産数量の多い後発医薬品の生産も行っています。
滋賀工場は、外資系製薬会社の日本向け医薬品の製造など、グループ外からの受託比率が高く、積極的に受託製造を進めています。
井波工場では、主に後発医薬品を取り扱い、内服固形剤のほか、点眼剤の製造を行っています。
また各工場ともにGMPの高度化を推進し、品質システムの維持・改善に取り組みながら、PIC/S-GMPへの対応を整備、国内外への供給体制も構築しています。
今後も高岡工場を含めて積極的な設備投資を行うとともに、一層の生産性向上と信頼性の確保に取り組みます。
能代工場 所在地:秋田県能代市
認証登録工場 環境マネジメントシステム ISO14001
労働安全衛生マネジメントシステム ISO45001
滋賀工場 所在地:滋賀県甲賀市
認証登録工場 環境マネジメントシステム ISO14001
労働安全衛生マネジメントシステム ISO45001
井波工場 所在地:富山県南砺市
認証登録工場 環境マネジメントシステム ISO14001
労働安全衛生マネジメントシステム ISO45001
サプライチェーン・マネジメント(SCM)
環境変化を踏まえ、製品ごとの需要予測に対して、世界各地域に広がるサプライヤーの在庫情報、供給計画を一元的に管理するとともに見える化を図り、安定供給のための体制を構築しました。これにより、原薬の製造から製品の供給まで、グローバルに管理することが可能となりました。昨今の環境変化に柔軟に対応すべく、さらなる強靭なサプライチェーンの構築を目指します。
原料・中間体・原薬を含む医薬品のサプライチェーンは製品毎に多種多様であり、かつ国内外の数多くのサプライヤーに支えられています。
調達の鎖を途切れさせずに安定供給を継続するには、個々のサプライヤーとの関係を強化し、連携・情報共有を密にすることが不可欠と考えています。
ここ数年、地政学的なリスクや為替変動、エネルギーコスト上昇や半導体不足等による原材料価格の高騰、物流の2024年問題などが顕在化していますが、当社グループは、社内外の製造委託先との生産計画や在庫調整、調達先の複数化や代替先の開拓、物流の効率化等を実施することにより様々なリスク低減を図り、製品の安定供給に継続的に取り組んでいきます。