杏林製薬(株)の平成10年3月期決算発表について
1998年5月26日
杏林製薬株式会社(社長 荻原 秀 資本金 36億23百万円)の平成10年3月期決算は、売上高461億59百万円(前年同期比7.6%減)、営業利益63億36百万円(同21.9%減)、経常利益60億84百万円(同29.0%減)、当期利益22億81百万円(同42.1%減)となった。昨年4月に2年連続して実施された薬価改定、9月に実施された健康保険法改正等の医療費抑制政策に伴う市場の縮小による売上不振、及び有価証券評価損による営業外費用の増加等の要因により減収減益になった。
製品別売上は、去痰剤「ムコダイン」が134億円(前年比3.4%増)、活性型ビタミンD3製剤「ロカルトロール」が31億円(前年比4.6%増)と堅調に推移。さらに潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ペンタサ」は18億円(前年比104.4%増)と伸長した。しかし気管支喘息・脳血管障害改善剤「ケタス」が70億円(同7.4%減)、胃炎・胃潰瘍治療剤「アプレース」51億円(同8.0%減)、ニューキノロン系合成抗菌剤「バクシダール」は35億円(同16.5%減)と前年比マイナスした。
バルク等の輸出を中心とした海外売上は50億円(前期59億円)と約15.1%のマイナス。
当期の研究開発費は57億円(前年比8.1%減)、設備投資は8億円(同39.9%減)。設備投資は工場関係の製造設備が中心。
次期の業績予測は3年連続となった薬価改定の影響など、引き続き市場の低迷が予想されてることや、新薬の上市予定もなく、その他業績を牽引する要因も薄いことから、売上高432億円(前年比6.4%減)、営業利益33億円(同47.8%減)、経常利益37億円(同38.7%減)、当期利益10億円(同55.9%減)。
10年3月期決算 単位:百万円 (前期実績)
売上高 | 46,159 (49,949) |
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営業利益 | 6,336 ( 8,113) |
経常利益 | 6,084 ( 8,574) |
当期利益 | 2,281 ( 3,939) |
年間配当 | 12円 ( 12円) |
次期予想
売上高 | 43,200 |
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営業利益 | 3,300 |
経常利益 | 3,700 |
当期利益 | 1,000 |
薬効別売上
神経系薬剤 | 1,113 ( 1,358) |
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循環器系及び呼吸器系薬剤 | 20,044 (20,206) |
消化器系剤 | 6,763 ( 6,405) |
ビタミン剤 | 3,050 ( 3,308) |
抗生物質薬剤及び化学療法剤 | 11,798 (14,976) |
その他 | 3,389 ( 3,694) |
新製品開発状況
製品名 | 薬効分類 | 開発段階 | 備考 |
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ケタス点眼液 | 抗アレルギー性結膜炎 (剤型追加) | 申請中 | 共同開発(萬有) |
アルシロン錠 | 抗潰瘍剤 | 申請中 | 共同開発 (日本ケミファ) |
ミロル点眼液 | 緑内障点眼剤 | 申請中 | 導入 (アラガン/米) |
AM-1155 | 合成抗菌剤 | PhIII | 自社開発 |
N-3389 | 制吐剤 | PhII | 共同開発 (日清製粉) |
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